企業薬剤師としてのキャリア:なぜ多くの専門家がこの道を選ぶのか?
企業薬剤師に転職すべきか?現場で感じる日々の不満、これが解消されるかもしれないという期待。私は多くの薬剤師が直面するこの問題を深く理解しています。この記事では、14年以上の企業勤務経験を持つ薬剤師の実体験に基づき、企業薬剤師としての魅力と、転職を通じてどのようにして年収を向上させることができるかを解説する。あなたのキャリアに新たな価値をもたらすための具体的なステップを明らかにし、実際の成功事例を通じてそのメリットを体感していただく。
はじめまして、筆者のラクダです。以下の経験から企業で働く薬剤師の実態と効果的な転職方法を紹介するためにブログを運営しています。
- 2010年から14年以上企業で働いている薬剤師
- エージェントを利用して就職・転職した経験を持ち、今も5個以上のサイトに登録し、3名以上のエージェントと繋がっている
- 転職によって年収を100万円以上UPした経験がある
なぜ薬剤師は企業を目指すのか?
薬剤師は臨床現場で働いてこその薬剤師だ。
Copilot (Microsoftが提供するAIアシスタント)に「薬剤師が働く意義」を聞いたところ以下の回答だった。
- 医薬品の適正使用: 薬剤師は、患者さんが処方された薬を正しく理解し、安全に使用できるように指導します。
- 薬物療法の管理: 患者さんの病歴やアレルギー情報を考慮し、最適な薬物療法を提供することで、治療の効果を最大化し、副作用を最小限に抑えます。
- 健康相談と教育: 健康に関する疑問や懸念に対して、専門的な知識をもってアドバイスを行い、健康教育を通じて予防医学に貢献します。
- 医薬品の品質管理: 薬剤師は、医薬品が適切な条件下で保管され、品質が維持されるように管理します。
納得の回答だし、全て臨床現場で行われていることだ。
総務省のデータによると日本の検索市場におけるGoogleのシェアが7割強なので、同程度と考えると多くの薬剤師が臨床現場で働いてこそと考えていることがわかる。
企業への就職を選択した理由
同じ厚生労働省のデータで医薬品関係企業で働く薬剤師数をみると、約39,044人で約12.1%。
これらの薬剤師はなぜ企業で働くのか?
私が14年以上企業で働いている理由を改めて考えてみた。
- 機械が動いているのを見るのが好き
- 大学院で研究した専門性を活かした仕事がしたい
- 家族で旅行に行けるように、カレンダー通りに休める環境が良い
- 有給が気兼ねなく取得できる職場で働きたい
- 海外を身近に感じられる職場で働きたい
- 継続的なキャリアアップが見込める職種で働きたい
- 責任の重さに見合った給与が欲しい
上記を満たす働き方が企業への就職だった。
この記事でわかること
この記事では以下の項目について企業で働く薬剤師の実態を紹介し、企業で働くことのメリット・デメリット、今後のキャリア形成を考察する。
- 職場環境の変化: 企業での勤務がどのような環境かについて。企業における薬剤師の仕事内容や働き方について。
- キャリアパスの探求: 薬剤師が企業で働くキャリアパスについて。薬局や病院と比べた企業で働くことのメリット・デメリットについて。
- 専門性の活用: 企業での薬剤師としての専門性をどのように活かせるかについて。薬剤師の専門知識が企業でどのように価値を生むかについて。
- 転職の動機と準備: 企業への転職を考えるさいの、転職の動機や準備について。転職先の企業を選ぶ際のポイントや、面接でのアピール方法について。
- 給与や待遇の比較: 企業薬剤師としての給与水準や福利厚生について。病院や薬局での勤務と比較して、企業での勤務がもたらす経済的な利点について。
企業薬剤師の実態
企業での薬剤師の働いている環境や働き方について紹介する。
企業での勤務環境について
企業で働く薬剤師、特に内勤職の働き方について自身の経験と友人・知り合いから聞いた話しをまとめる。
オフィスはフリーアドレスとリモート主体
オフィスのレイアウトは事務職と技術職で異なる。
事務所について、薬剤師が就くことが多いマーケティングや薬事、品質保証、学術はオープンスペースや個室オフィスで働いている。会社に着いたら空いている席から使いたいスペースを見つけて使用する。企業の雰囲気にもよるが、椅子の代わりにバランスボールが置いてあるスペースがあったりスタンディングスペースがあったりする。リモート勤務ができるようになって、職場も面白い環境で働けるようになった。
技術職は昔と変わらずに固定スペースで働いている。これは技術職はデスクに座っている時間より実験机やクリーンベンチなど特殊な環境で作業する時間が長いからだ。これらは研究所や製造所をデザインする時に設置場所を決めているので、事務机のようにレイアウト変更を簡単にすることが難しいからだ。もちろん、余裕のある現場では完全に作業スペースとデスクワークのスペースを分けてオープンスペースを取り入れている場合もあるが、そもそも事務机に座っている時間が少ないのが実態だ。
社内文化は会社や本社のある国によって違う
起業文化は会社によっても違うし、本社のある国によっても違うようだ。私は2社しか経験がないので聞いた話も混ざるが、以下の特徴がある。
- アメリカ、イギリス系企業: 個々の自立性と責任を重視し、自身の業務範囲を明確に分ける傾向がある。オープンな協議が推奨される一方で、ビジネスプランはトップダウンが強くなる働く。
- ヨーロッパ系企業: 多様性と付加価値の高さを重視する傾向がある。歴史や文化を重んじる一方で、革新的なアイディアや製品も評価する。ワークライフバランスを尊重しつつ個人の自立性を尊重するが、コンタクトパーソンのバケーション待ちで仕事が進まないようなことをある。ビジネスプランはトップダウンだが、現場が置かれている状況によって調整されることがある。
- 日本企業: 協調性と長期的な安定を重視する一方で、意思決定に多くの承認が必要になり時間がかかる。個々の自主性やオープンな協議より組織内の調和を重んじ、雇用を守る傾向が強い。
日本企業と外資系企業の雰囲気や働き方の違い、メリット・デメリットはこちらで詳細に説明する。
企業における薬剤師の仕事内容や働き方について
次に薬剤師が起業でどのように働いているか紹介する。
バラエティ豊かな企業薬剤師の職種と役割
薬剤師が働く業界は数多くあるが、ここではイメージしやすい製薬業界での働き方にしぼる。
- 研究: 製薬企業での研究職は新しい薬を作る研究をする。どんな薬が必要かを考え、実験を通じて効果的な成分を見つけ出し、その薬は製品化されて医療現場で使われるようになる。
- 開発: 開発職は製品を作るために、研究で見つけた新しい成分や方法を使って、実際の製品を作り出す役割を担う。この役割は研究職が行う基礎的な発見から一歩進んで、実用化に重点を置く。
- 学術: 製薬企業の学術職の役割は、主に医療関係者への情報提供やサポートをする。研究職が薬の開発に直接関わるのに対して、学術職はその薬の適切な使用を促進し、サポートする役割を担っている。
- 薬事: 製薬企業での薬事職の役割は、薬や医療機器が法律や規則に合っているかを確認し、承認を受けるための手続きをすることだ。書類の準備や申請、規制当局とのやり取りを主に行う。
- マーケティング: 製薬企業でのマーケティング職の役割は、薬や医療機器を市場に紹介し、販売を促進することだ。プロモーション活動、価格設定、顧客とのコミュニケーション、製品のポジショニングが主な仕事内容となる。
- MR: 製薬企業でのMRの役割は、医師や薬剤師などの医療専門家に直接製品情報を提供し、その使用を促進することだ。新しい研究データの提供、製品使用に関する疑問への回答、継続的な教育支援が主な仕事内容となる。
- MSL職: 製薬企業でのMSL職(メディカルサイエンスリエゾン)の役割は、製品に関する科学的情報を専門的な視点から医療専門家に提供し、深い科学的対話を促進することだ。臨床データの説明、治療法の最新情報の提供、医療現場からのフィードバックの収集が主な仕事内容となる。
- 品質保証: 製薬企業での品質保証職の役割は、製品が一貫して高品質を保つようにすることだ。品質管理基準の設定や監視、内部監査を行う。
- 品質管理: 製薬企業での品質管理職の役割は、製品の各ロットが定められた規格と基準を満たしているかをテストし、確認することだ。実験室での作業が中心で、試験結果の正確さを保証する。
- ファーマコビジランス: 製薬企業でのファーマコビジランス職の役割は、市場に出た薬の安全性を監視し、副作用や他の安全に関する報告を集め、評価することだ。患者や医療従事者からの情報を受け取り、それを分析して報告する仕事が中心となる。
- 生産管理: 製薬企業での生産管理職の役割は、製品の生産プロセスがスムーズに進むように計画し、調整することだ。生産スケジュールの作成、在庫管理、生産ラインの効率を監視し、生産量が需要に合っているかを確認する。
- 生産技術: 製薬企業での生産技術職の役割は、製造設備やプロセスの技術的な側面を管理し、最適化することだ。新しい製造技術の導入、既存のプロセスの改善、生産効率を向上させるための技術的な戦略を開発することが主な仕事内容となる。
多様性のある働き方
製薬企業での様々な働き方は次のようにまとめられる。
- 正社員:完全な雇用形態で、通常はフルタイム勤務を行い、社会保険や福利厚生などの完全な給与や福利厚生が提供される。
- パート・アルバイト:時給または日給で支払われる非正規雇用形態。勤務時間や期間が限定されることが多く、社会保険の対象外となることもある。
- 派遣社員:派遣会社に雇用され、クライアント企業に派遣されて仕事をする形態。勤務期間や仕事内容が契約に基づいて定められる。
- 紹介予定派遣: 最初は派遣社員として働き、一定期間後にクライアント企業の正社員として雇用される可能性のある形態。双方にとって試用期間のような役割を果たす。
働き方は多様化しているが、薬剤師の転職市場では正社員としての求人が主である。正社員としての働き方はこちらで紹介した。
企業薬剤師のキャリアパスとは?
企業でのキャリアパスを簡単に説明すると以下の通りだ。
- ジュニアレベル:
- 新入社員としてスタートし、基本的な業務スキルや企業のプロセスを学ぶ。
- この段階では、主に指導の下での業務実施や、チーム単位のプロジェクトに参加することが求められる。
- ミドルレベル(スペシャリスト):
- 専門知識やスキルを深め、特定の領域(例:臨床開発、薬事法規、品質保証など)でスペシャリストとして認知されるようになる。
- この段階で、薬剤師はチーム単位のプロジェクトを主導したり、特定の業務領域における意思決定をする。
- シニアレベル(エキスパート/シニアスペシャリスト):
- 深い専門知識と広範な経験を持ち、社内や部門内でのリーダーシップを示す。
- 重要なプロジェクトのリーダーや、戦略的な意思決定に直接関与し、部門またはプロジェクトチームを指導します。
- マネジメントレベル:
- 部門やチームの管理者として昇進し、業務の方向性やチームの目標設定、人材育成を担う。
- 管理職として、業務の効率化、予算管理、人事評価などの責任を持つ。
キャリアチェンジとして、他部署への移動や転職がある。企業で働く薬剤師はサッカーのプレイヤーのようにクラスアップやポジションを変えるコンバートがあり、キャリアアップを目指して移籍することも可能だ。
企業勤務のメリットとデメリット
薬剤師が企業で働くメリットとデメリットを薬局や病院での勤務と比較すると以下の表になる。
項目 | 薬局や病院での勤務 | 企業での勤務 |
---|---|---|
仕事の範囲 | 比較的限定される。主に処方箋の調剤、患者への服薬指導が中心。 | 幅広い。研究開発、薬事、マーケティング、品質管理など多岐にわたる分野で活躍。 |
キャリアパス | 昇進の機会が限られることが多い。専門性を深めることでキャリアを形成。 | 昇進の道が多様で、国際的なキャリアを築くチャンスもあり。専門性の高い領域でのキャリアが可能。 |
勤務時間 | シフト制で夜間や週末の勤務が一般的。 | 一般的には定時での勤務が多く、プライベートの時間を保ちやすい。 |
給与水準 | 地域や業務内容により異なるが、一般的には平均的。 | 企業の規模や役職によるが、一般的に高め。特に大手企業や国際的な職は高給が期待できる。 |
職場の環境 | 患者と直接関わるため、コミュニケーション能力が求められる。ストレスを感じやすいことも。 | チームでのプロジェクトが多く、協働を重視。オフィスベースの仕事が中心で、精神的なプレッシャーが少ない場合が多い。 |
専門性の発展 | 患者の治療に直結する知識が深まる。特定の疾病や薬に関する専門家になる道も。 | 医薬品開発から市場での評価まで、製品ライフサイクル全般にわたる専門性を習得。業界全体の動向に精通することができる。 |
仕事の影響力 | 直接的に患者の健康を支援し、地域社会に貢献。 | 薬の開発や市場導入を通じて、より広範囲な社会への影響を与える可能性がある。 |
まとめると以下の通り。
- メリット: 多様なキャリアパス、高い給与水準、定時勤務による良好なワークライフバランス、専門性の発展と継続的な学習機会、そして広範囲な社会への影響力
- デメリット: 患者との直接的な接触が少ない、職場の競争が激しい、職場の変動や不安定さ、そして専門性が特定の領域に限定される
具体例を含めたより詳細なメリット・デメリットの紹介はこちらで行う。
企業での専門性の活用
企業における専門性の活かし方
薬剤師が持つ一般的な専門知識として、薬学知識、薬理学、疾病理解がある。これらの知識が企業でどのように応用されるかを以下に説明する。
1. 薬学の知識
- 製薬会社:薬学知識は製薬会社での製品開発に直接応用される。薬剤師は新薬の配合や剤形の開発、製造プロセスの設計に関わる。
- 品質管理・保証:製造された医薬品が規定の品質基準に適合しているかを確認するため、薬学的な分析や評価をおこなう。
- 規制関連業務:薬学知識を活かして、医薬品の承認申請や規制文書の作成する。
2. 薬理学の知識
- 臨床試験:薬剤師は薬理学の知識を用いて、新薬の有効性や安全性を評価する臨床試験の設計や解析に貢献する。
- ファーマコビジランス:副作用情報を解析し、薬理学的な観点からその原因を探り、リスク管理策を策定する。
- マーケティング:薬理学的知識を基に、効能や作用機序を正確に伝えるマーケティング資材の作成する。
3. 疾病への理解
- メディカルアフェアーズ:疾病に関する深い知識を持つ薬剤師は、医療従事者や患者向けの教育資料の作成や、科学的根拠に基づいた情報提供をおこなう。
- ヘルスエコノミクス:疾病の治療に関連するコスト効果分析や健康政策の策定する。
- 医療機器企業:特定の疾病や治療法に関連する医療機器の開発に、臨床的な視点から貢献する。
これらの例からもわかるように、薬剤師が持つ専門知識は多様な企業環境で重要な役割を果たし、新たな製品開発や患者ケアの質の向上、さらには医薬品の安全性と効果の確保に貢献する。企業内での薬剤師の活動は、その専門性を広範囲に活用し、多方面に渡る影響を与えることができる。
薬剤師の専門知識が生む価値
薬剤師の専門知識が企業にもたらす価値を紹介する。
- 研究開発(R&D):薬剤師は新薬の研究開発フェーズで中核的な役割をになう。薬理学の知識を活用して、効果的かつ安全な薬剤の設計と評価をしている。また、臨床試験の設計と監督においても、その詳細な疾病理解が試験の信頼性を高めるのに不可欠だ。
- 品質保証・管理:製薬企業における品質保証部門での薬剤師の役割は、製品が一貫して規制基準に準拠していることを保証すること。この職務は、製品の安全性と効能を保証し、企業の信頼性を支えるため、非常に重要だ。
- 規制対応:薬剤師は規制環境の変化に対応し、適切な規制戦略を策定する責任をもつ。この役割では、最新の規制要件を解釈し、遵守するためのプロセスを構築することが求められる。
- 患者ケアとアウトカムの改善:企業薬剤師は、製品が実際に患者の健康改善に貢献するよう、その使用方法や治療プロトコルの最適化にかかわる。また、薬剤の適正使用を促進する教育プログラムの開発にも関与する。
- 未来の展望:バイオテクノロジーの進展に伴い、個別化医療や遺伝子療法の分野での薬剤師の役割はさらに重要になる。これらの新しい技術を理解し、それを製品開発に統合する知識は、企業にとって大きな資産となる。
このように、経験を持つ薬剤師の専門知識は、製薬企業内で多岐にわたる活動を通じて具体的な価値を生み出し、企業の成長と患者ケアの質の向上に直接的に寄与している。
企業転職への準備
企業転職の動機や準備
企業への転職を考えた場合、以下に見つめ直す必要がある。
- 転職の動機の特定:成功する転職は明確な目的から始まる。キャリアアップ、給与の向上、より良いワークライフバランスの追求、新たな技術や知識の習得など、自身の転職動機を具体化し、それが長期的なキャリア目標とどのように一致しているかを考える。
- 市場調査:薬剤師としての企業への転職前には、市場の動向を理解し、どの業界が成長しているか、どの企業が薬剤師を求めているかを把握することが重要だ。求人情報を追跡し、業界のニュースに精通し、求められるスキルと現在のスキルセットを照らし合わせる。
- スキルギャップの分析と準備:企業が求めるスキルと自身のスキルセットを比較し、必要に応じて追加のトレーニングや資格取得を検討する。たとえば、データ管理やプロジェクトリードの経験が必要な場合、関連する研修を受けることが有効だ。
- 履歴書とカバーレターの最適化:履歴書は転職先企業のニーズに合わせてカスタマイズし、専門的なスキルや成果を強調する。カバーレターでは、転職の動機とその企業での役割でどのように貢献できるかを具体的に述べる。
- 面接の準備:面接では、企業が求める資質や能力を示すため、事前に一般的な質問に対する回答を準備しておくと良い。また、面接官に自身のキャリアプランや転職によって目指すビジョンを説明できるようにする。
- 転職後のキャリア計画:企業に転職した後のキャリアパスを明確に描き、到達目標に向けて具体的なステップを計画する。これには新しい役割での成果目標設定や、職場での人脈構築も含まれる。
これらのステップを踏むことで、薬剤師は企業での新しいキャリアに向けて効果的に準備し、成功の可能性を高めることができる。
企業転職における企業選びと面接準備
転職先の企業選びのポイント
- 企業文化の合致:自分の価値観とキャリア目標に合った企業を選ぶことが大切だ。企業のウェブサイトや社員のレビューを調べて、実際の職場環境を把握する。
- 成長可能性:企業の業界内での位置づけや将来性を評価する。特に技術進化が速い業界で働く場合、学習と成長の機会が提供されているかを確認する。
- 福利厚生とワークライフバランス:給与だけでなく、福利厚生や休暇、勤務条件など、自分のライフスタイルに合うかを検討する。
面接でのアピール方法
- 事前準備:企業の事業内容や業績、業界の動向を事前に研究し、面接で具体的な質問ができるように準備する。
- 自己PR:自分の経験やスキルがどのように企業のニーズと合致するかを明確に示す。具体的な成果や事例を交えて説明し、自分の価値をアピールする。
- 積極性の表現:熱意と前向きな態度を示し、その企業で働きたいという強い意欲を伝える。将来に向けた自身のビジョンを共有し、企業の成功にどう貢献できるかを話す。
面接後のフォローアップ
- 感謝の表明:面接後は迅速に感謝の意を示すメールを送り、印象を良くする。さらに話を深めたいトピックに触れて関心を示す。
このようなアプローチを取ることで、転職活動はより効果的になり、望む職場でのポジションを確保する可能性が高まる。
薬剤師の働き方による年収の違い
企業のおける薬剤師の給与水準や福利厚生
企業で働く薬剤師の給与水準や福利厚生について紹介する。
- 給与水準の概要:企業薬剤師の給与は経験、地域、業種によって大きく異なる。入門レベルでは年収が相対的に低いが、経験が増えるにつれて、特に製薬会社やバイオテクノロジー企業で高い給与を期待できる。業界平均を超える給与を得るには、専門的なスキルと業界特有の知識が必要だ。
- 福利厚生の種類:企業薬剤師に提供される福利厚生は、健康保険や退職金制度、有給休暇などの基本的なものから、株式オプションやパフォーマンスボーナスなどのインセンティブまで多岐にわたる。また、働き方の柔軟性を求める薬剤師には、リモートワークのオプションやフレキシブルな勤務時間が特に魅力的である。
- 給与交渉のアドバイス:市場価値を理解し、自身のスキルと経験を適切に評価することが重要。交渉では、具体的な成果と業務への貢献を示し、相場に基づいた合理的な要求を行う。福利厚生も含め、総合的な報酬パッケージに焦点を当てることが成功の鍵だ。
- 将来のトレンド:業界の進展と共に、企業薬剤師の役割は拡大しており、それに伴い給与も上昇傾向にある。技術革新や医薬品市場の拡大は、専門スキルを持つ薬剤師に新たな機会を提供している。
企業勤務は薬局・病院より年収が高い
病院や薬局での勤務と企業での勤務について比較する。薬剤師が働くことが多い企業の本社は東京都にあることが多いので、どちらも東京に限って比較することとした。
職場の種類 | 最高年収 | 平均年収 |
---|---|---|
調剤薬局 | 600万 | 約550万 |
病院 | 660万 | 約550万 |
企業 | 660万 | 約650万 |
調査は2024年5月5日にマイナビ薬剤師の求人情報から東京23区内勤務のうち、年収上位10社を使用した。
企業勤務の特徴は以下の5点だ。
- 給与の違い:東京の企業薬剤師は、病院や薬局勤務の薬剤師と比べて一般的に高い給与を受け取る傾向にある。特に大手製薬会社や国際的なバイオテクノロジー企業では、基本給だけでなく、成果に基づくボーナスやインセンティブが充実している。
- 福利厚生の充実:企業勤務の薬剤師は、病院や薬局よりも幅広い福利厚生を享受できる。これには健康保険、退職金制度、育児支援、さらにはフィットネスクラブの会員権や社員旅行など、生活の質を向上させる福利が含まれる。
- キャリア成長の機会:企業勤務は、専門技術や業務知識の向上を通じてキャリアアップを目指せる環境が整っている。企業によっては、国内外のプロジェクトへの参加や管理職への昇進の機会が豊富にあり、長期的なキャリア展望も期待できる。
- ワークライフバランス:多くの企業では、柔軟な勤務スケジュールやリモートワークのオプションが提供されており、プライベートの時間を大切にしながら働ける。これにより、仕事と家庭生活のバランスを保ちやすくなる。
- 経済的安定性:企業勤務の薬剤師は、病院や薬局勤務と比べて雇用の安定性が高い場合が多い。特に大企業や国際企業では、不況の影響を受けにくい安定した収入源を確保しやすい。
これらの情報をもとに、薬剤師としてのキャリアを考える際の企業選びに役立てることができる。
30代が直面する経済的課題と解決策
FP2級としても活動している経験をもとに、30代において起こる可能性が高いライフイベントとそれに伴う金銭的な課題を説明する。以下にその内容を箇条書きで示す。
- 家の購入:大きな初期費用が必要であり、長期にわたるローン返済と維持費や固定資産税の負担が発生する。
- 結婚:結婚式と披露宴の高額な費用、共有財産の管理、配偶者の借金や貯蓄習慣の違いが問題となる場合がある。
- 子どもの誕生:出産費用、子育て費用、教育費、医療費が長期にわたって必要となる。
- キャリアチェンジまたは起業:安定した収入の欠如、起業初期の資金調達の困難、事業運営コストの増大。
- 健康問題:予期しない医療費の発生や治療に伴う休職が収入減に繋がる。
これらのライフイベントは30代でよく見られ、それぞれが特有の金銭的な課題をもたらす。それぞれの課題に対処するためには事前の準備と適切な計画が必要だ。
薬剤師の夜間バイトの実態
簡単な解決策として、ドラッグストアなどの夜間アルバイトで副収入を得る方法がある。そこで、私が2年間働いて経験した夜間アルバイトについて紹介する。
- 大規模スーパー併設のドラッグストアだったので、魚や肉を会計しようとする客がいる。会計できないと断ると片しておけと冷蔵・冷凍品を置いていなくなる
- 深夜帯は店舗の暖房が切られるので寒い。白衣の上にダウン着ていたほど
- 夜12時から朝5時まで1人だったので、トイレに行くのも難しい。上記も相まって冬は地獄だった
- 客は少ないけど在庫の期限チェックにノルマがあるので意外と忙しい
- 時給は3,000円
正直20代の大学院生だったので乗り切れたが、30代で正社員での深夜バイトは体も心もキツい。私には乗り切れる自信がないが、あなたはいかがだろう?
30代薬剤師、未経験業界への転職で年収100万円UP
30代で未経験業界への転職は難しい。それは一般的に正しい。しかし、臨床現場での経験豊かな薬剤師が企業へ転職することは、企業にとっても薬剤師にとってもメリットがある。
企業側が薬剤師を求める理由は以下の通り。
- 現場経験を持つ人材が企業転職の場にいない
- ユーザー目線でのアドバイスや改善が期待できる
- 企業内には薬剤師資格が必須のポジションがある
そして、薬剤師側のメリットは以下の通りだ。
- 専門性を正しく評価され、希少性の高い人材として扱われる
- 複数のキャリアパスがあり、自分に合った成長を選べる
- 豊富なトレーニングカリキュラムが豊富から好みのプログラムを、家でも会社でも受講できる
- 土日勤務や夜勤がなく、家族との時間を過ごせる
- 前職の給与を基に交渉するため、年収アップが見込める
私は33歳で国内製薬メーカーから外資医療機器メーカーへ転職した。業界も業種も未経験だった。30代で未経験業界へ転職だった。その時の経験はこちらにまとめた。
転職エージェントの活用
転職エージェントと転職サイトの役割
今まで転職で成功するためのプロセスを説明してきた。しかし、働きながら1人で全てを完璧に仕上げることは難しい。少なくとも、転職のプロではない私には不可能だ。
そこで私は転職エージェントの利用をお勧めしている。就職活動の際に利用したエージェントのおかげで足りない点のサポートを受けられ、また求人探しや企業研究も代行してもらった。
転職は転職サイトから企業スカウトを受けて転職したが、自身で全てをこなすことはできなかっただろう。30代は忙しいからだ。
私はこのエージェントから年収1,500万円の求人を紹介された。業務内容から力不足を感じて応募しなかったが、10年後には知識と経験を積んで応募したい。
まとめと次のステップ
薬剤師としてキャリアを考える時、求人の年収情報を参考にして、自分のキャリアプランに合った選択をすることが大切だ。調剤薬局、病院、企業それぞれの職場での年収や働き方の違いを理解し、自分の経験やスキルに基づいて適切な場所を選ぶべきだ。また、転職をただの職場変更と考えるだけでなく、キャリアアップの大きな機会として捉えることが重要である。たとえば、ロケットは宇宙へ飛び立つために2段式として1段目を切り離す必要がある。同様に、薬剤師のキャリアも転職することでキャリアを加速することができる。
転職活動は計画的に行うことが成功への鍵となる。特に薬剤師のキャリアアップでは、スキルや経験を活かせる職場を見つけることが重要。転職活動を始める前に、自分のキャリア目標を明確にし、求人情報をしっかり分析することが大事。そのため、3ヶ月の転職スケジュールを立てることをおすすめする。
詳しいスケジュールや計画方法については、「薬剤師のための3ヶ月転職スケジュール」の記事を参照してほしい。ここでは、転職活動の各フェーズで何をすべきかのヒントが提供されている。
この計画的なアプローチを取ることで、より効果的に次の職場を見つけ、薬剤師としてのキャリアをスムーズに進められるだろう。