薬剤師の職場はピッチだ!製薬企業の職種をサッカーのポジションで徹底解説

「製薬会社の職種ってたくさんあるけど、どれが自分に向いているのか分からない」──そんな悩みを持つ薬剤師のあなたへ。この記事では、製薬企業の薬剤師職を“サッカーのポジション”に例えて解説します。攻めの部署(オフェンス)、守りの部署(ディフェンス)、その橋渡しをするバランサー。あなたはどのポジションタイプでしょうか?感覚的に理解しながら、キャリアの方向性を整理しましょう!
製薬企業の職種を“サッカー”でたとえると?
なぜサッカーの視点がわかりやすいのか?
製薬企業の中には多くの部署が存在しますが、それぞれの役割が抽象的で、現場経験がないとイメージしづらいものです。
そこで今回のテーマは“サッカー”。「チームで勝利(製品の成功)を目指す」「ポジションごとに役割がある」という点で、製薬企業の組織構造と驚くほど似ています。
例えば、営業職(MR)は得点を狙うフォワード。
総括製造販売責任者はゴールを守るゴールキーパーのように、守備の要です。
このようにサッカーのポジションになぞらえることで、職種ごとの「攻守の役割」や「チーム内の位置づけ」が直感的に理解でき、
「自分に向いているポジションはどこだろう?」という視点でキャリアの再設計が可能になります。
製薬企業における「フィールド=チーム構造」の全体像
製薬企業で働く薬剤師のキャリアは、製品開発・品質管理・営業・教育など多岐に渡ります。
これを“ピッチ(フィールド)”に見立てると、以下のように各部署が戦略的に配置されています。
- フォワード(FW):MR、マーケティング(売上という“ゴール”を狙う)
- 攻撃的MF(セカンドトップ):MSL、MA(医療者との信頼関係で得点機を演出)
- ボランチ(中央MF):薬事(攻守のバランスを保つゲームメーカー)
- ディフェンシブMF:PV、安全性(リスクマネジメント)
- センターバック(CB):QA/QC(品質管理という“守備”を担う)
- ゴールキーパー(GK):総括製販責任者(製品の最終責任者)
部署によって「攻めの姿勢」が求められる職種もあれば、「ミスを防ぎ守る」視点が重要な職種もあります。
この視点で全体を俯瞰することで、自分の性格や志向に合ったポジション=キャリアの方向性が見えてきます。
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オフェンス型の部署(攻めて稼ぐポジション)
製薬企業における「オフェンス型の部署」は、まさに“売上をつくる”最前線。
製品の価値を市場に届け、成果を可視化できるという点で「点を取りにいく」ポジションです。
積極性、提案力、情報伝達のスピードが求められます。
MR(営業)=ストライカー(FW)
MR(Medical Representative)は、まさにチームの点取り屋=ストライカー。
医師や薬剤部などの医療従事者に対し、自社製品の有効性や安全性を伝えることで「処方という得点」を狙います。
営業の最前線で動きながら、他部署からのサポート(マーケ、MSLなど)を受けて、
実際に成果として形にする重要なポジションです。
向いている人の特徴:
- 行動量で結果を出したいタイプ
- コミュニケーション力と切り返しに自信がある
- 成果を数字で評価されたい
マーケティング=セカンドトップ/攻撃の司令塔
マーケティング職は、戦略立案とアシストを担う“司令塔”。
市場調査、競合分析、KOL(キーオピニオンリーダー)との関係構築、
製品戦略の設計までを手がけ、MRの活動を“点につなげる”支援を行います。
同時に、プロモーション資材や情報提供のリスク管理を通じて、
「ルール内でいかに攻めるか」という“戦術眼”も問われるポジションです。
向いている人の特徴:
- 戦略や全体像を描くのが好き
- 数字と論理に強い
- リスクを見ながら成果を出したい
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)=プレイメーカー(攻撃的MF)
MSLは、医師との科学的対話を通じて“得点機を演出”するプレイメーカー。
営業的要素は持たず、製品や疾患領域のエビデンスを武器に、医師と信頼関係を築く役割です。
企業の中でも高度な医学知識と対話力を求められる専門職で、
MA(メディカルアフェアーズ)と連携して「長期的な得点機会」を生み出します。
向いている人の特徴:
- サイエンスに強く、勉強が苦にならない
- 専門家との対話にやりがいを感じる
- 短期的な数字よりも、中長期的な信頼構築を重視したい
関連記事リンク:
- 薬剤師がMRに転職する方法
- MSLって何?薬剤師の新キャリア紹介
ディフェンス型の部署(守って支えるポジション)
製薬企業における「ディフェンス型の部署」は、“リスクを察知し、未然に防ぐ”役割を担う守りの要。
売上を直接生むわけではありませんが、企業活動の**信頼性と継続性を守る“縁の下の力持ち”**として不可欠な存在です。
正確性、誠実さ、論理的思考が重視されます。
PV(安全性情報)=ディフェンシブMF
PV(Pharmacovigilance)は、ディフェンシブMFのように“リスクの芽”を早期に察知してチームを守る要。
副作用や有害事象など、安全性に関する情報を収集・評価・報告し、薬剤の適正使用を支えます。
「もし何か起きたら?」という“最悪のシナリオ”に備えるポジションであり、国内外の規制対応も多岐にわたります。
向いている人の特徴:
- 細かな情報も見逃さず拾える
- 過去事例からパターンを導くのが得意
- 責任感を持って黙々と業務に取り組める
H3:QA/QC(品質保証・品質管理)=センターバック(CB)
QA(Quality Assurance)/QC(Quality Control)は、まさに守備ライン=センターバック。
製品の品質を「計画通りに作る」「逸脱があれば止める」「不具合があれば迅速に是正する」。
その一つひとつが企業の信頼に直結する重要な役割であり、
逸脱対応や監査対応はまさに“クリアリング”の仕事といえるでしょう。
向いている人の特徴:
- ルールや基準に基づく行動が得意
- トラブル時でも冷静に判断できる
- 堅実で慎重なタイプ
総括製造販売責任者=ゴールキーパー(GK)
総括製造販売責任者(総括)は、全責任を負う“最後の砦”=ゴールキーパー。
製造・品質・安全管理のすべてを統括し、製品の出荷判定や当局への対応も担います。
万が一の際は「その薬剤が市場に出てよかったかどうか」の判断を問われることもあり、
高度な専門性と責任感が求められるポジションです。
向いている人の特徴:
- 全体を見渡し、リスクを想定できる
- プレッシャーに強く、判断を下せる
- 法規制・運用管理に詳しい or 興味がある
関連記事リンク:
- 薬剤師が安全管理責任者になるには
- 製薬企業の品質部門とは?
ミッドフィルダー型の部署(攻守のバランサー)
製薬企業において“攻め”と“守り”の架け橋となるポジションが、いわゆるミッドフィルダー型の部署。
部署同士をつなぎ、社内と社外をつなぎ、医療の専門性とビジネス戦略を融合させる。
そんな“バランス型人材”が活躍するのがこのゾーンです。
薬事=セントラルMF(ボランチ)
薬事(Regulatory Affairs)は、規制当局と開発部門の中心に位置する「戦術の要」。
新薬の承認取得、申請書の作成、PMDA対応など、法律や規制の中でどう勝ち筋を描くかが問われます。
ルールの深い理解が求められる一方で、開発・製造・営業部門との連携も密。
まさに“攻守両面”のプレイヤーです。
向いている人の特徴:
- ルールと実務の“中間地点”で思考できる
- 粘り強く調整・交渉を進められる
- 細かさと戦略思考の両方を兼ね備える
MA(メディカルアフェアーズ)=戦術理解の高い中盤
MA(Medical Affairs)は、医科学的エビデンスを基に「正しい価値」を伝える戦略担当。
医師と科学的な議論を交わしながら、開発・マーケティング・営業の間に立って**“科学の立場からの戦術構築”**を担います。
論文・データの解釈力や、全体像を把握する視座が求められます。
向いている人の特徴:
- エビデンスをもとに議論できる
- 俯瞰視点で全体戦略を考えられる
- 他部門と信頼関係を築ける
CRA(臨床開発モニター)=サイドハーフ or ボックス・トゥ・ボックス
CRAは、治験の現場と本社をつなぐ“運び屋”ポジション。
施設との調整・資料作成・モニタリングなど、**“現場の状況を把握し、本部にフィードバックする”**ことが役割です。
外勤も多く、フットワークの軽さと交渉力、同時に書類精査などの地道さも求められます。
向いている人の特徴:
- 現場感覚があり、外との調整が得意
- タスク管理と細かい処理を同時にできる
- ルールと柔軟さの両方に対応できる
教育・学術=サイドバック or 第二のキャプテン
教育・学術職は、チーム全体の底支え役。
新入社員やMR、医療関係者への教育資材作成や勉強会の実施など、**“知識をわかりやすく伝える”**ことが求められます。
縁の下の力持ちとして、プレイヤーの質を底上げする存在。第二のキャプテンのように、いざという時には前線にも出ます。
向いている人の特徴:
- わかりやすく伝えるのが得意
- 縁の下でチームを支えることに喜びを感じる
- 細やかさと責任感のあるタイプ
関連記事リンク:
- 薬事職に転職する薬剤師が増えている理由
- CRAってどんな仕事?
あなたはどのポジション向き?
製薬企業には、サッカーチームのように多様な役割を持つ職種が存在します。
では、あなた自身はどのポジションタイプに当てはまるのでしょうか?
以下で「性格」「志向性」「これまでの経験」をもとに、オフェンス・ディフェンス・ミッドフィルダーのタイプ別特徴を見ていきましょう。
オフェンスタイプの特徴(提案力・スピード重視)
こんな方に向いています:
- 新しいことを提案したり、チャンスをつかみにいくのが得意
- 変化を恐れず、スピード感をもって行動できる
- 「話していて元気が出る」と言われることがある
職種例:
- MR(営業)
- マーケティング
- MSL(医師との専門的連携)
エピソード例:
「学生時代にサークルのイベントを仕切って集客数を倍増させた」「店頭施策を自ら提案して売上を改善した」など、“攻め”の結果を出した経験がある人にぴったりです。
ディフェンスタイプの特徴(正確性・堅実性)
こんな方に向いています:
- 計画通りに物事を進めるのが得意
- 曖昧なリスクを残さず処理するのが好き
- 周囲から「真面目」「信頼できる」と評価されることが多い
職種例:
- QA/QC(品質)
- PV(安全性)
- 総括製販(責任職)
エピソード例:
「ミスを出さないようマニュアルを自作した」「品質トラブルを未然に防いだ」など、ミスを防ぐ工夫や地道な対応にやりがいを感じられるタイプです。
ミッドフィルダータイプの特徴(調整力・戦術眼)
こんな方に向いています:
- 部署間や社外との“橋渡し役”を任されることが多い
- 情報を整理し、相手に合わせた伝え方ができる
- 「冷静で全体が見えている」と言われる
職種例:
- 薬事(RA)
- MA(メディカルアフェアーズ)
- CRA(臨床開発)
- 教育・学術
エピソード例:
「部署間の意見をまとめてプロジェクトを前に進めた」「治験施設と自社開発チームの板挟みを調整した」など、攻守のバランスを取りながら成果を出してきた経験が活かせます。
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