薬剤師にTOEICは必要?キャリアと年収を左右する点数ラインを完全ガイド

「TOEICを受けたほうがいいの?」――臨床現場や企業で働く薬剤師から、こうした相談を受ける機会が増えています。外資系転職や国際共同治験への参加が当たり前になったいま、英語力は単なる“+α”ではなくキャリアを左右する評価軸。その一方で「結局何点あれば十分?」「点数より大切なスキルは?」と情報が錯綜しているのも事実です。本記事では最新求人データと現役薬剤師の成功事例をもとに、TOEICスコアがキャリアと年収に与えるリアルな影響を徹底解説。あなたが取るべき次の一手がわかります。
薬剤師にTOEICが注目される3つの理由
英語が苦手でも、今まで業務に支障はなかった——そう感じている薬剤師も多いはずです。しかし近年、TOEICスコアの提示を求める求人が増加し、「自分も必要なのでは?」と不安を感じる声が増えています。
実は、英語力の需要は特定のキャリアパスだけでなく、臨床や調剤など日常業務にもじわじわと浸透しています。特にTOEICは“読み書き”能力の指標として評価されやすく、履歴書でのアピールや昇進条件に使われるケースも。
ここでは、薬剤師にTOEICが注目される背景を3つに分けて具体的に解説します。将来を見据えたスキルアップに役立ててください。
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英語ガイドライン・論文の一次情報が読める価値
国内でもGL(ガイドライン)や添付文書に英語の一次情報が引用されるケースが増えています。例えば、抗がん剤や希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)などは海外データが中心です。
こうした情報を日本語訳に頼らず理解できると、文献検索やMRとのやり取りの質が高まり、処方提案の根拠がより明確になります。TOEICではリーディング力を評価するため、一次資料の読解力の裏付けとして提示しやすいのもメリットです。
学術・DI部門を目指す方や、根拠に基づいた医療を実践したい方にとって、英語文献の読解力は今後ますます重視されるでしょう。
外資系・CRO求人での応募条件が変化
従来、外資系企業やCROの求人では「英語力あれば尚可」とされていましたが、現在では「TOEIC700点以上必須」などの条件が明示されることも珍しくありません。
特に薬事申請、安全性情報、臨床開発などのポジションでは、英語でのレポート作成やグローバル会議の参加が業務に含まれます。TOEICスコアはこうした“書く・読む”業務に対する適性を測る指標として重宝されています。
将来的に企業転職を視野に入れている場合、今のうちからTOEICスコアを積み上げておくことで、選択肢の幅が大きく広がります。
院内・薬局での外国人患者対応の増加
観光客や在住外国人の増加により、調剤薬局や病院でも外国人患者への対応が求められる機会が増えています。「服薬指導を英語で行う場面があった」「英語表記の処方箋が持ち込まれた」といった声も珍しくありません。
このような現場では、TOEICで測られる基本的な読解・聴解力が実務に直結します。特に問診や服薬指導などのフレーズが頭に入っていると、急な対応にも自信をもって対応できます。
TOEICの勉強を通じて、必要な語彙や言い回しに慣れておくことは、日常業務をスムーズに進めるための武器になるでしょう。
臨床・企業別|求められるTOEICスコアと業務内容
「TOEICは何点取ればいいのか?」「職場によってどのくらい必要?」——英語学習を始めた薬剤師の多くが感じる疑問です。実際、必要とされるTOEICスコアは、業務内容や職場環境によって異なります。
特にグローバル化が進む医療・製薬業界では、英語力が“持っていれば有利”から“なければ困る”へと変化しています。とはいえ、やみくもにスコアを追いかけるのではなく、自分のキャリアゴールに応じたレベル感を知ることが重要です。
ここでは臨床(病院)・企業(製薬・CRO)・研究職の3カテゴリに分けて、求められるTOEICスコアと実際の業務例を詳しく解説します。
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病院薬剤師(国際病棟・感染症チーム)の目安点数
外国人患者との対応や英語文献の活用が求められる病棟では、TOEIC600点前後が一つの目安となります。問診、服薬指導、医師とのカンファレンスなど、実践的な英会話能力に加え、英文資料の理解力も重視されます。
感染症チームでは、CDCやWHOの最新ガイドラインを直接参照する必要がある場面も。読解力と用語理解を両立できるスコアとして、TOEIC600〜730点レベルが現場では信頼されるラインといえるでしょう。
スコアだけでなく、「実務でどう活かせるか」を意識した学習が鍵になります。
製薬企業・CRO(薬事/PV/学術)で重視される点数と実務
製薬企業やCROの中でも、英語文書の作成・読解が日常的に発生する部門ではTOEIC730点以上がひとつの基準とされます。特に薬事(Regulatory Affairs)や安全性情報(PV)、学術(MSL)などは、海外本社や厚労省・PMDAへの提出資料が英語であることも多く、正確な読み書き力が求められます。
また、社内会議や国際学会でのプレゼン、メール対応など、業務全体で英語の使用頻度が高まっているため、TOEIC800点以上のスコア保持者が採用面でも優遇されやすい傾向があります。
研究職・アカデミアで評価される英語力とは
アカデミアや研究開発部門では、英語論文の執筆や国際学会での発表が業務の一部となっており、TOEICスコアよりも実際の読解・表現スキルが問われる傾向にあります。ただし、TOEIC730点以上が「英語で仕事ができる人材」の一つの目安として認識されているのは事実です。
英語スピーキングやプレゼン力を証明したい場合は、TOEIC SpeakingテストやVERSANTといった別の指標を併用することも効果的です。とくに若手研究者であれば、TOEIC+αの実力を示すことが、競争の激しいアカデミックポストでの評価につながります。
自身のキャリアを見据え、適切なスコアの目標設定と使い方を意識しましょう。
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TOEICスコアと年収レンジの相関データ
「TOEICのスコアを上げれば、本当に年収に直結するのか?」——多くの薬剤師が抱えるこの疑問に対して、実際の転職市場データや人材紹介会社の統計は明確な傾向を示しています。
英語力は“評価されるスキル”から“条件になるスキル”へと進化しており、TOEICスコアの向上がキャリアや年収にどう影響するかは、無視できない指標となっています。
ここでは500点から800点超までのスコア帯ごとに、どのような職種・年収レンジに広がるのかを具体的に整理し、実務で活かせるかどうかとの関係性も解説します。
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500→600点、600→730点で年収はどう変わる?
TOEIC500点前後は「履歴書に書ける最低ライン」とされ、年収ベースでは400万〜500万円台の求人が多い傾向です。
このゾーンでは、あくまで「学習意欲あり」と評価される範囲であり、実務での英語使用は想定されていないケースがほとんどです。
600点を超えると、英語を一部業務で使用する職種、例えばCROの治験サポートや製薬企業の内勤職でも「読み書き中心」の業務に携われるようになり、年収レンジは450万〜600万円へと広がります。
また、外資系のジュニアポジションに応募できる可能性も出てきます。
730点を超えると、薬事・PV・MSLなどのポジションで年収600万〜800万円レンジの求人に応募できる現実的な選択肢が一気に増加します。
730点以上が“天井”ではない—英文文書と会議運営の価値
「TOEIC730点以上=上級」という認識はありますが、英語業務が日常化している現場では、スコアだけでは測れない“実務対応力”が重要になります。
特に英文報告書の作成、会議での議事録・ファシリテーション、英語での研修資料作成などができる人材は、800点超を取っていなくても年収800万〜1,000万円レンジに到達する可能性があります。
事実、外資系製薬企業やCROでは「TOEICは目安」としながらも、社内評価では“業務で英語を使って成果を出せるか”がより重視される傾向です。
特にプレゼン・報告の場面で英語力を発揮できれば、ポジション昇格やプロジェクト責任者に抜擢されるケースもあります。
したがって、「TOEICスコアの向上」だけでなく「英語で何ができるか」を意識した学習戦略が、キャリアと年収の最大化には不可欠です。
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成功事例|TOEICでキャリアを切り拓いた薬剤師
「TOEICの点数で本当にキャリアは変わるのか?」——そう疑問に感じる方も多いはずです。
実際には、英語力の証明としてTOEICスコアを取得したことで、病院内のポジション異動や企業転職を実現した薬剤師は少なくありません。
ここでは、TOEICスコアをキャリアの転機に活かした2名の具体的な事例を紹介します。
読み終える頃には、スコアアップが単なる数字ではなく“キャリアの扉”であることが明確になるはずです。
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TOEIC645点で国際病棟へ—病院薬剤師Aさん
Aさんは地方の総合病院で病棟薬剤師として勤務していました。
英語には苦手意識がありましたが、海外からの患者対応が増えてきた現場に不安を覚え、独学でTOEIC対策を始めました。
学習開始から約8ヶ月、TOEIC645点を取得。これをきっかけに、国際病棟への異動を打診され、実際の患者対応や海外医師とのカンファレンスにも参加するようになりました。
「スコアより“変化に前向きな姿勢”が評価された」と本人は語ります。英語力が完全でなくとも、現場で必要な英語表現を学び続ける覚悟が、チャンスにつながった好例です。
TOEIC805点で外資系DI職へ—調剤薬局出身Bさん
Bさんは調剤薬局で5年勤務後、より専門的な業務と年収アップを求めて転職を考えました。
外資系製薬企業のDI(ドラッグインフォメーション)職に強く惹かれたものの、「応募条件:TOEIC750点以上」が高い壁に。
その後、通信講座とオンライン英会話を活用し、約1年でTOEIC805点を取得。
エージェント経由で外資系DI職の書類審査を通過し、現在は社内で英語対応の問合せを中心に活躍しています。
「スコアで応募資格を満たしただけでなく、“英語で業務ができる即戦力”として評価された」とのこと。年収は前職比で約120万円アップしました。
TOEICスコアは単なる試験結果ではなく、努力とスキルの可視化ツールとなり得るのです。
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業界・職種の全体像と転職5ステップを、実例とともにわかりやすく解説しました。まずはこちらのガイドで、あなたのキャリアの方向性を整理してみませんか?
薬剤師におすすめのTOEIC対策ステップ
「TOEICの勉強は続かない」「そもそも時間がない」——そう感じる薬剤師は多いでしょう。
特にフルタイムで働きながらスコアアップを目指すには、限られた時間で効果的に学習する工夫が欠かせません。
ここでは、TOEIC対策を継続しやすくする“ミニマムな工夫”と、スコアに直結する教材の選び方を紹介します。
英語が苦手でも取り組みやすい内容に絞っているので、初心者でもすぐに実践可能です。
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忙しくても続く15分アプリ学習法
毎日15分のスキマ時間を使った「アプリ学習」は、薬剤師のように多忙な職種にぴったりの方法です。
通勤中や休憩時間を活用することで、日々の英語学習が習慣になります。
おすすめは、「スタディサプリENGLISH」や「abceed」などTOEICに特化したアプリ。AIによる苦手分析機能や音声再生速度の調整など、効率を高める工夫が満載です。
実際、これらのアプリを使って3ヶ月で100点以上スコアを上げた例も多く報告されています。
学習時間が限られている方こそ、“小さく始めて継続する”スタイルが効果的です。
リスニング強化でスコアを底上げする教材3選
TOEICはリスニングセクションの配点が495点と高く、スコアアップにはここが鍵となります。
特に600点未満の層は、リスニング強化による得点上昇が比較的早く表れやすい傾向があります。
おすすめの教材は以下の3つです:
- 『世界一わかりやすいTOEICテストの授業(関正生)』
- 『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』シリーズ
- 『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(音声付き)
これらはいずれも医療英語に限らず汎用性の高い内容で、リスニング力全体の底上げに役立ちます。
音読・シャドーイングを組み合わせて使うことで、業務でも活きる“耳と口”が鍛えられます。
【「英語が不安で外資系に踏み出せない…」そんな薬剤師の方へ】
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まとめ
「英語力が必要なのはわかっているけれど、TOEICの点数ってどこまで意味があるの?」——そう思っていた薬剤師が、実際にスコアを武器にキャリアを切り拓いています。
病院での国際対応や企業での英文資料作成、さらにはCROでのグローバル会議参加まで、TOEICスコアは単なる「資格」ではなく、キャリア選択肢を広げる“通行証”のような存在です。
本記事で紹介したように、500→600点、600→730点といったスコア上昇には、年収や業務の幅を広げる明確な意味があります。
もしあなたが「いまの職場で将来が見えにくい」「もう一歩ステップアップしたい」と考えているなら、英語と向き合うことが、将来への確かな一歩になるはずです。
まずは、自分に合った英語学習方法や転職可能性を知るところから始めてみませんか?
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