未経験からMA職へ!薬剤師がメディカルアフェアーズに転職するための完全ガイド

「企業で専門性を活かしたキャリアに進みたい」「患者対応よりも、薬の科学的知見を深めたい」—そんな思いを抱える薬剤師の方へ。未経験からメディカルアフェアーズ(MA)職への転職は可能です。本記事では、MA職の概要、求められるスキル、未経験者が採用されるためのポイントを詳しく解説します。
メディカルアフェアーズ(MA)とは?
製薬企業において、**メディカルアフェアーズ(Medical Affairs:MA)**は、科学的・医療的な観点から自社製品の価値を伝え、医療現場との橋渡しを担う重要なポジションです。MAは「売るため」ではなく、「正しく使ってもらうため」に、エビデンスに基づいた情報提供や、リアルワールドでの医療ニーズの把握・研究支援を行います。
医療従事者やKOL(Key Opinion Leader)と協働しながら、「この薬はどのような患者に、どのように使われるべきか?」という視点で活動するため、薬剤師としての専門知識をベースに、科学的かつ戦略的な視野が求められるのが特徴です。
MA職の概要と役割
MA職の主な役割は、以下の3つに集約されます:
- エビデンスの創出と普及
- 製品の有効性・安全性に関する追加研究(PMS、リアルワールドデータ研究など)の計画とサポート
- 論文作成や学会発表などを通じた医療現場への情報提供
- 医師・医療機関とのエンゲージメント
- 製品に関する高度な医学的ディスカッション
- 未充足医療ニーズの把握や製品戦略へのフィードバック
- 社内外の橋渡し
- 営業部門・開発部門・薬事部門と連携し、製品価値の最大化を図る
- 社内教育(メディカルトレーニング)やFAQ対応
このように、MAは医師との“対話”を通じて科学的な価値を届ける役割を果たすため、コミュニケーション能力と論理的思考力が問われる職種です。
MSLとの違いと関係性
**MSL(Medical Science Liaison)**は、MAの中でも特にフィールド(現場)で活動する役割です。全国の医療機関や医師を訪問し、エビデンスや未承認情報に関する高度な医科学的ディスカッションをリードします。
- MA: 戦略立案・研究推進・資料作成・学会対応など、社内外を横断する“企画・調整”型ポジション
- MSL: 医師との面談を通じて製品価値を伝える“外勤・対話”型ポジション
両者は役割の重なりも多く、未経験からキャリアをスタートする場合はMSLが入り口となることも多いです。MSLで経験を積んだ後、MA本部での戦略立案業務にキャリアアップするルートもあります。
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→ 薬剤師のためのMSL職ガイド
未経験からMA職に転職するために必要なスキルと経験
未経験からメディカルアフェアーズ(MA)に挑戦するには、特別な資格よりも「専門性+ビジネスコミュニケーション+学習意欲」の掛け算が重要です。薬剤師としての医学的基盤は大きなアドバンテージになる一方で、「論文が読める」「医師と議論できる」レベルのスキルが求められるのがMAという職種の特徴です。
特に外資系企業では、論理的な対話力と、日常的に英語を使った業務への対応力が問われることが多くなります。
求められるスキルセット
MA職に未経験から応募する際に、最低限押さえておきたいスキル・資質は以下のとおりです:
1. 医薬・臨床に関する基礎知識
- 薬剤師国家資格があれば、基礎はOK
- 病態生理・薬理・臨床試験の仕組みを“言葉で説明できる”ことが重要
2. 論文読解力とエビデンスの理解
- PubMedでの情報収集
- 臨床論文(RCT、システマティックレビュー)の構造理解と考察力
3. 対人コミュニケーション力
- 医師とのディスカッションでは、受け答えより“対話の設計”が重視される
- 説明能力だけでなく、相手のニーズや温度感をくみ取る力が求められる
4. プレゼン・資料作成スキル
- 社内外での資料説明、KOL向けプレゼンテーション
- パワポ、Excel、Teamsなど業務ツールの操作力も一定以上は必須
5. 自己学習・アップデート力
- 日進月歩の医療情報に遅れず、常に“医療者の視点で考え続けられるか”が問われる
これらを完璧に備える必要はありませんが、「現在どのスキルが足りないか」を可視化し、面接で“キャッチアップ意欲”を示すことが選考通過のカギです。
英語力の重要性と対策方法
MA職では、英語力は“加点要素”ではなく、業務遂行上の必須要件として扱われるケースもあります。特に外資系では以下の場面で英語が使われます:
- 海外本社・リージョンとのメール・会議
- 海外論文・ガイドラインの精読・要約
- 英語でのスライド作成・報告
- 英語での医師対応(英語論文をベースに説明)
英語の目安レベル(TOEIC基準):
職務内容 | 必要レベルの目安 |
英文資料読解(読み中心) | TOEIC 700〜 |
本社とのメール・チャット対応 | TOEIC 750〜800 |
会議・プレゼン参加 | TOEIC 850〜900〜 |
未経験者におすすめの対策方法
- インプット強化:
- 『English Grammar in Use』で英文法をリフレッシュ
- PubMedやUpToDateで英文医療記事を定期的に読む
- アウトプット練習:
- DMM英会話で医療英会話の場数を増やす
- Camblyで外資系の英語面接対策をネイティブと実施
- RIZAP ENGLISHで短期間にスピーキング力をブースト(本気対策向け)
英語に不安があっても、“継続して努力している姿勢”と“最低限の対応力”があれば採用される事例も多数あります。自己紹介や志望動機だけでも英語で話せるようになっておくと、面接で好印象です。
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→ 薬剤師のための英語学習法
未経験者歓迎のMA関連求人の探し方
「MA職に興味はあるけれど、未経験OKの求人なんて本当にあるの?」――そう思う薬剤師の方は多いはずです。実は、未経験者歓迎のMA求人は一定数存在しますが、公開されているものはごく一部。 特に人気職種であるMAは、“非公開求人”として扱われることも多いため、情報収集の方法が結果を大きく左右します。
ここでは、未経験からでも応募可能なMA求人を見つけるための現実的なアプローチを解説します。
求人サイトの活用方法
まずは誰でも気軽に始められるのが、求人サイトでの検索です。以下のコツを押さえておくと、効率よく求人を見つけられます。
【ポイント1】「メディカルアフェアーズ」だけでなく「MSL」「学術」でも検索
- MA職は求人タイトルに表れにくく、「メディカル担当」「医学関連職」「MSL候補」と表現されていることもあります。
- キーワードを広めに設定するのが◎。
【ポイント2】検索条件に「未経験可」や「研修制度あり」を加える
- 条件付き絞り込み機能を活用すると、未経験歓迎案件が見つけやすくなります。
【ポイント3】複数サイトを横断的にチェック
- doda、リクナビNEXT、マイナビ薬剤師、日経メディカルキャリアなど、情報源を複数持つのが鉄則。
ただし、求人サイトは「登録なし」で見られる案件が多い反面、年収や勤務地が曖昧だったり、未経験可否が明記されていなかったりするため、鵜呑みにせず確認が必要です。
転職エージェントの選び方
未経験からMA職を目指す場合、求人サイトよりも転職エージェントを通じた紹介の方が現実的かつ成功率が高い傾向にあります。理由は以下のとおりです:
- 非公開求人にアクセスできる(=ライバルが少ない)
- 企業ごとの“実情”や“歓迎される人物像”を事前に教えてもらえる
- 未経験でもポテンシャル採用の枠に推薦してもらえる
【おすすめの選び方:目的別】
エージェント名 | 特徴 |
マイナビ薬剤師 | 製薬企業・学術職に強い。面接サポートが丁寧で初めての転職に◎ |
リクルートダイレクトスカウト | ハイクラス求人多め。MA職の非公開求人も多い。 |
ビズリーチ | 英語力に自信がある中堅薬剤師におすすめ。企業直案件あり。 |
JACリクルートメント | 外資系・グローバル職に特化。MA・MSL案件に精通。 |
未経験者であれば、まずは2社以上に登録し、比較しながら相性の合う担当者と進めていくのが成功パターンです。
関連記事:
→ 薬剤師向け転職エージェント比較
未経験からMA職に転職した薬剤師の体験談
「自分には無理かもしれない」——未経験でMA職を目指す多くの薬剤師が、一度は抱える不安です。ですが実際には、病院や薬局、学術職など異なるバックグラウンドからMA職へキャリアチェンジを果たした例は少なくありません。
ここでは、未経験からMAへ転職した薬剤師の体験談を通じて、成功のポイントとその後のキャリア展望をリアルにお伝えします。
転職成功のポイント
30代前半・病院薬剤師(臨床6年)のAさんは、コロナ禍をきっかけに将来の働き方を見直し、企業でのキャリアを模索し始めました。「論文を読むのは好きだったし、医師と議論するような場面にもやりがいを感じていた」という彼女が選んだのが、メディカルアフェアーズ(MA)職でした。
最初は「自分なんかがMAに?」と自信がなかったAさんですが、以下の3つを意識したことで、見事に外資系製薬企業のMA職に内定しました。
成功の要因:
- 志望動機の深掘り:
「なぜ今、なぜMA職なのか」を納得感のあるストーリーで語れるように準備。面接でも「覚悟が伝わった」と評価されたそうです。 - “未経験”を補う学びの姿勢:
面接前にGCPの基礎や論文の批判的読解を独学で習得。「これから伸びそう」という印象を与えることに成功。 - エージェントとの連携:
薬剤師向けエージェントを複数活用し、履歴書・面接対策・企業ごとの傾向を徹底的に対策。
「特別な実績がなくても、“知識+意欲+素直さ”で評価される職種。それがMAです」と、彼女は話します。
転職後のキャリアパス
Aさんが入社したのはMA部門の中でもフィールド型のMSL(Medical Science Liaison)職。担当領域は腫瘍領域で、月に数回医療機関を訪問しながら、KOLと呼ばれる医師との高度なディスカッションを重ねる日々です。
「最初の半年は本当にきつかったです。英語、エビデンス、業界構造——全部学び直し。でも、毎日が刺激的で、臨床だけでは得られなかった視野が広がりました」
転職から2年後、彼女は社内のMAストラテジーチームへの異動が決定。現在は製品戦略や教育資料の作成、グローバルチームとの協業を担当しています。
キャリアパスの例(未経験→3年後):
年数 | ポジション | 業務内容 |
入社時 | MSL(フィールドMA) | 医師との面談・講演会サポート・症例共有など |
2年後 | MAストラテジーチーム | 資料作成・社内教育・グローバル連携など |
3〜5年 | シニアMA / メディカルマネージャー | 製品戦略立案、部下育成、グローバル報告対応 |
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→ 薬剤師のキャリアアップ事例集
MA職は、薬剤師としての「学ぶ力」と「伝える力」が最大限に活かせるフィールドです。たとえ未経験でも、戦略的に準備すれば確実に道は開けます。
あなたの可能性を、止めないでください。
未経験だからといって、メディカルアフェアーズ(MA)への挑戦を諦める必要はありません。むしろ今、「薬剤師×エビデンス」の視点を持つ人材が、製薬業界で強く求められています。
ただし、MA職は表に出にくい「非公開求人」が多く、未経験からの応募では選考書類の質や面接戦略が結果を大きく左右します。
だからこそ、薬剤師の企業転職に精通したエージェントの力を借りることが、キャリアチェンジ成功の近道です。
【まずは無料相談からはじめてみませんか?】
薬剤師の経歴を理解し、未経験者向けMA求人を多数扱う専門エージェントであれば、あなたの「強みの引き出し方」まで丁寧にサポートしてくれます。
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そんな方は、以下の転職エージェント比較記事から、目的に合ったサービスをチェックしてみてください。
→ 薬剤師向け転職エージェント比較|企業・外資・未経験に強いのは?
キャリアの幅を広げる一歩は、「情報を取りに行く行動」から始まります。
迷った今が、動き出すタイミングかもしれません。
あなたの次のキャリアが、未来の医療を支える一歩になりますように。