薬剤師×医療IT企業|未経験からヘルステックで働くには?注目企業と成功のコツ

「製薬会社やCROじゃない、もっと未来志向の場所で働けないかな?」
そう感じた薬剤師に、今“第3の選択肢”として注目されているのが医療IT・ヘルステック企業です。
業界は急拡大中。それでも「自分にできる仕事はあるの?」「何を準備すればいいの?」と不安になるのは当然です。
この記事では、医療IT業界の全体像から薬剤師が活躍できる職種、未経験OKの企業傾向までを丁寧に整理。**あなたの経験を活かせる“次の一歩”**が、きっと見えてきます。
医療IT・ヘルステック業界のいま
市場の成長背景と注目される理由
医療ITやヘルステック領域は、ここ数年で急激に市場規模が拡大している注目分野です。背景には、高齢化社会の進行、医療費の増大、そしてコロナ禍を契機とした**「非対面・デジタル医療」のニーズの加速**があります。
加えて、国や自治体による「医療DX」政策、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)活用の推進など、制度的な後押しも活発です。これらにより、電子カルテ・服薬管理アプリ・遠隔診療ツール・医療データ連携など、医療とテクノロジーを融合させたサービスやプロダクトが次々と生まれているのです。
この中で、現場を知る薬剤師の視点が求められる場面も増えており、**「医療現場とテクノロジーの橋渡し役」**としての新たな活躍が注目されています。
従来型医療との違い(スピード・フラット性など)
ヘルステック企業の多くは、従来の製薬・病院・CROとは異なるスタートアップ的な文化や働き方を持っています。具体的には:
- 意思決定のスピードが早い
- 肩書きよりも成果や専門性が評価されやすい
- 異業種(エンジニア・UI/UX・マーケなど)との協働が前提
これまでの「医師が上、薬剤師は指示を受ける立場」といった構造とは異なり、薬剤師も**「データ・安全性・服薬のプロ」として対等に意見を求められる環境**です。
こうしたフラットかつスピーディな現場では、新しい価値を生み出す医療人材としての薬剤師のポジションが大きく広がっています。
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薬剤師が活躍できる医療IT企業とは?
企業タイプ別の特徴(スタートアップ/大手IT/医療特化SaaSなど)
「医療IT企業」といっても、実はその内情や求められる人材像は企業のタイプによって大きく異なります。薬剤師が活躍しやすい代表的な企業タイプを見てみましょう。
- スタートアップ系ヘルステック企業
医療現場の課題をスピード感を持って解決しようとするベンチャー企業。業務範囲は広めですが、「薬剤師の知識をどう事業に活かすか」を自分で設計できる面白さがあります。例:服薬アプリ開発企業、PHR連携企業など。 - 大手IT企業の医療部門/DX事業部
外資系・日系問わず、大手IT企業が医療分野に進出しており、データ利活用やクラウド連携などが注力領域。ここでは医療の専門性+ITリテラシーがある薬剤師が貴重な戦力として扱われます。 - 医療SaaS系(電子薬歴・服薬指導支援ツール)
調剤薬局向けのツールやBtoBの医療機関向けSaaS製品を提供する企業では、薬剤師としての知見をプロダクト開発・ユーザーインタビュー・薬機法対応などに活かすことが可能です。
これらの企業に共通しているのは、「医療知識を持ちつつ、非医療人材と協働し、言語化・構造化できる力」が重視される点です。これはまさに、薬剤師の新しい強みとなり得るスキルセットといえるでしょう。
ヘルステック企業で採用される薬剤師の背景
実際にヘルステック企業に転職している薬剤師には、次のような共通点があります。
- 現場経験がある(調剤・病院・製薬など)
→ 実務の視点をプロダクトやサービスに反映できる人材は重宝されます。 - 副業や独学でITスキルを習得していた(Python、ChatGPT活用など)
→ 完璧なスキルは不要でも、「キャッチアップ意欲と実践」が評価される傾向に。 - 薬剤師資格+マネジメントや提案経験がある
→ スタートアップでは**「専門職かつ多能工」**が求められる場面が多く、他職種との橋渡しができる薬剤師は貴重です。
特に近年は、「単に薬学的に正しいことを語れる」だけでなく、「ユーザーに届く表現に翻訳できる」薬剤師が求められています。
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注目のヘルステック企業・SaaS開発企業などをピックアップ。職種や採用傾向も紹介。
想定される職種と役割
薬機法監修/UI改善/メディカルライティング
医療IT・ヘルステック業界における薬剤師の代表的な職種として、以下のようなポジションが注目されています。
- 薬機法・医療監修
医療アプリやウェブサービスにおける薬機法や医療情報の正確性を担保する監修ポジション。医療広告ガイドラインへの対応や、添付文書・服薬指導の内容チェックなどが求められます。 - UI/UX改善アドバイザー
医療従事者としての視点を活かし、「この画面構成では患者が混乱する」「薬剤師としてはこの導線が使いやすい」といったユーザー視点でのフィードバックを提供する役割。エンジニアやデザイナーと連携し、プロダクト改善に関与します。 - メディカルライター・エディター
医療従事者向け・患者向けの記事作成やコンテンツ監修。信頼性ある情報を読みやすく翻訳する能力が求められます。生成AIやChatGPTの下書きを監修する役割としても、薬剤師が求められ始めています。
これらの職種はいずれも、“薬剤師であること”が前提となる専門的な付加価値を発揮できる領域です。ITスキルや業界知識があればより有利になりますが、「現場を知っている医療人材」として未経験でも参入可能なケースも多く存在します。
CS・サポート業務での“医療的視点”
ヘルステック企業では、カスタマーサクセス(CS)やカスタマーサポート業務に薬剤師を配置するケースも増えています。これは単なる窓口業務ではなく、「医療専門職としての信頼感」が必要な対人対応を担う重要なポジションです。
具体的には:
- サービス導入時の医療機関向け説明・運用アドバイス
- アプリ利用者からの医療的問い合わせへの対応
- プロダクトの改善提案やフィードバック収集
こうした業務では、「患者さんからよく聞かれること」や「現場で本当に使いやすい仕様とは何か」など、薬剤師ならではの経験値が大いに活かされます。
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未経験からデジタル人材を目指すためのスキルと資格を目的別に紹介。
未経験から目指すための準備とは?
求められるスキルと実務理解(IT英語・チャット文化・ツール適応力)
医療IT・ヘルステック企業において薬剤師が活躍するには、“医療の専門性”と“IT業界の仕事文化”の両方を理解することが大切です。特に未経験からの転職を考えるなら、以下のようなスキル・リテラシーが実務で求められます。
- IT英語の基礎理解
「compliance」「release」「issue」など、現場で頻出するIT+医療関連の英単語やチャット用語を知っているだけでも会話のストレスが減ります。 - チャット文化・オンライン会議への慣れ
SlackやZoom、Notionなどを活用する**“非同期・テキストベースのやりとり”**が一般的です。「報連相」よりも「自走+可視化+提案」が求められる点は、日系医療現場との大きな違いです。 - SaaS・クラウド・AIツールへの抵抗感がないこと
ChatGPTやGoogle Workspaceなど、非医療ツールにも慣れておくことが信頼獲得の第一歩になります。
未経験だからこそ、「ツールを使ってみた経験」「独学で使えるようになった実績」が評価されます。完璧である必要はありません。“キャッチアップする姿勢”こそが最大の武器です。
ポテンシャル採用を勝ち取るための行動ステップ
ヘルステック業界では、未経験でも学習意欲が高く、かつ自分の言葉で動機を語れる薬剤師がポテンシャル枠として採用されることが増えています。以下のステップを踏むことで、企業側の信頼を得やすくなります。
Step 1|学習履歴を「見える化」する
→ Python学習のアウトプット(Google ColabのURL)、プロンプト設計の練習記録、薬機法やデジタルヘルス分野の情報キャッチアップ内容などをまとめておく。
Step 2|“なぜ医療ITに関わりたいか”を自分の言葉で語れるようにする
→「現場の課題感」と「ITの可能性」をセットで語れると、現実感ある志望動機になります。
Step 3|エージェントを活用し、適性のある企業・職種に出会う
→ 特にヘルステックやSaaS分野に強い転職エージェントを活用すれば、未経験OKの非公開求人や、志望動機作成の支援が得られる点も魅力です。
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転職を成功させるための視点
エージェントの選び方と非公開求人の活用
ヘルステックや医療IT領域は、求人数が多い一方で「専門性とマッチングの精度」が求められる世界です。だからこそ、転職エージェントの活用が成功のカギを握ります。
特に意識したいのが、次の2点です。
- 業界理解があるエージェントを選ぶこと
一般的な薬剤師向けではなく、「医療×ITに強い」「外資・スタートアップ案件に詳しい」といった**“専門軸”を持つエージェント**を選ぶことで、より的確な求人紹介・面接対策が期待できます。 - 非公開求人を紹介してもらえるか
ヘルステック企業では、「ポジション立ち上げ段階」や「成長フェーズでの採用」が多く、こうした求人はWebには出てこない“非公開案件”であることがほとんど。
エージェントを通すことで、未経験OK・副業可・語学サポートありといった求人に出会える可能性が高まります。
カルチャーフィットの見極め方
実務スキルだけでなく、**カルチャーフィット(組織文化との相性)**は、医療IT企業での活躍を大きく左右します。
たとえば以下のような観点が重要です:
- 「言われたことをやる」ではなく、「仮説を立てて提案する」マインドが求められる環境
- Slack・Zoom・Notionなど、テキストベースのやりとりが中心
- 「目的から考える」思考法が組織文化に根付いている
こうした環境で活躍するには、自分の価値観と企業のカルチャーが**“噛み合うかどうか”を見極める視点**が不可欠です。
選考前後の面談で確認すべきポイントとして:
- フィードバックの頻度と方法
- チーム内の意思決定プロセス
- 入社後1ヶ月のオンボーディング計画の有無
などが挙げられます。ここでも業界に精通したエージェントが橋渡し役になってくれることで、企業の“実際の空気感”を把握しやすくなります。
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英語力に自信がない方にも役立つ、“使える英語力”とキャリアの広げ方を紹介。
おわりに
次の一歩は、あなたの“現場感”に未来をつなげることから
薬剤師として培ってきた経験は、「目の前の患者を支える力」だけでなく、「医療全体を進化させる視点」へと変わっていく時代に入りました。
いま、医療IT・ヘルステックの世界では、
- 現場の声をわかる人
- 医療の文脈を翻訳できる人
が、必要とされています。
「でも、自分にはテックな経験がないし……」
「関われるとしたら、どんな形があるんだろう?」
そんな風に思ったとしたら、それは立派な“入り口のサイン”です。
あなたが感じたその違和感や興味は、現場でこそ生きる価値。
未来の選択肢を狭めないために、まずは医療IT・ヘルステックに詳しい転職エージェントと話してみませんか?
あなたの経験を“新しい医療の形”につなげるヒントが、そこにあるかもしれません。
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