薬剤師がMSLを目指すには?必要スキルと転職成功の戦略ガイド

「MSLってどんな仕事?薬剤師でもなれるの?」
そんな疑問を持ったのは、がん領域で臨床経験を積んだあなたかもしれません。
近年、薬剤師出身のMSLは増えていますが、求人のハードルは高く、転職成功には“正しい準備”が不可欠です。
この記事では、MSL職に必要なスキルや経験、成功事例、そして企業とつながる最短ルートを紹介します。
薬剤師の専門性を“次のキャリア”につなげるヒントがここにあります。
MSLとは?薬剤師が目指せる理由と役割
MSLの仕事内容|営業ではなく、医療者との「科学的対話」
MSL(Medical Science Liaison/メディカルサイエンスリエゾン)は、製薬企業やバイオベンチャーにおいて、営業職ではなく「医学・薬学の専門職」として活動するポジションです。
具体的な業務には以下が含まれます:
- 大学病院の医師など“キーオピニオンリーダー(KOL)”との面談・ディスカッション
- 開発中または発売直後の医薬品に関する科学的な情報提供
- 医師から得た臨床現場の「リアルな知見」を社内にフィードバック
- 学会・シンポジウムへの参加と情報収集
MSLの特徴は「売上目標を持たない」点にあります。つまり、“売る”のではなく“伝える”ことに専念できる、極めて専門性の高い職種です。
薬剤師との親和性が高い理由(臨床知識・がん/感染症領域の強み)
薬剤師、とくに病院での臨床経験やがん・感染症領域の専門性を持つ方にとって、MSLは非常に相性の良いキャリアパスです。
なぜなら:
- 臨床現場の理解力がそのまま医師との対話に活きる
- 論文読解・エビデンスの評価など、学術的な素地が求められる
- 医療従事者との信頼構築力は薬剤師としての日常業務で培われている
加えて、薬機法に基づく情報提供の中立性・正確性も、薬剤師の倫理観や職業観と強く結びついており、製薬企業からも高く評価されています。
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MSLに求められるスキル・経験
必須とされる「英語力」「学術的理解」「対話力」
MSLは高度な専門性と対人能力が求められるポジションであり、以下の3つのスキルは**「ほぼ必須」といえるレベル**で求められます。
- 英語力(TOEIC 700点〜目安)
論文読解・グローバルとのやり取り・資料作成で必要。英語面接やレジュメ対応が発生する企業も多数。 - 学術的理解(臨床試験・治験・薬理作用の理解)
医師や研究者と対等に「科学的な対話」を行うため、製薬開発や疾患メカニズムへの深い理解が求められる。 - 対話力・傾聴力
情報提供だけでなく、相手のインサイト(洞察)を引き出し、社内に還元することがMSLの大きな役割。営業的な“話術”ではなく、信頼関係を築く医療者マインドが大切です。
病院薬剤師・製薬企業経験から活かせる具体的スキル
MSLには、病院薬剤師や製薬企業出身の薬剤師が多数活躍しています。以下のような経験は、MSL職にダイレクトに活きるスキルとなります。
- 抗がん剤・免疫抑制剤など専門領域での服薬指導経験
→ 特定領域の知見は、MSLの疾患別チームへの配属で強みになります。 - DI室・副作用報告・論文検索業務
→ 医学的な情報を評価し、医師に分かりやすく伝える経験はMSL業務と高い親和性。 - 医師とのカンファレンス参加経験
→ 多職種連携の中で専門家同士の会話に慣れている人は、医療者と対等に話せる土台があります。
また、製薬企業でのMR経験も、MSL職へのキャリアチェンジとしては有利になるケースが多く、「社内外コミュニケーションの橋渡し役」として期待される傾向があります。
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薬剤師がMSLになるには?転職成功のステップ
ステップ① 自己分析と職務経歴の再構築
MSL職への転職を目指すなら、最初にやるべきは**「自分の専門性・経験の棚卸し」**です。
- 専門領域(がん、感染症、免疫など)の深さ
- 医師や看護師との対話経験
- 論文検索・副作用対応・学会参加などの実績
これらの経験を、「MSLとしてどんな貢献ができるか?」という視点で職務経歴書を再構成することが重要です。特に病院薬剤師やDI業務出身者の場合、「対話型の情報提供経験」「医療現場の理解」が強みになります。
ステップ② 英語・面接対策は「準備力」で差がつく
MSL職の選考では、英語面接やレジュメ提出が求められるケースが多数あります。
- TOEICスコアは最低700点前後が目安(ただし実践的な会話力も評価される)
- 医師との架空面談やディスカッションを想定した**「ロールプレイ形式の面接」**
- 製薬企業のグローバル体制を意識した論理的な受け答え
これらの場面で差がつくのは準備力と客観的フィードバック。独学よりも、MSL職に精通したエージェントの模擬面接サポートが圧倒的に有利です。
ステップ③ 求人は非公開中心。エージェント経由が前提
MSL求人は以下の理由から、一般の求人サイトに出回ることはほとんどありません。
- 高度な専門性が求められ、企業側が候補者を絞って水面下で募集することが多い
- 求人情報が変動しやすく、応募タイミングが合わないとチャンスを逃す
- 職務内容が高度で、「自分で探して応募」するより、マッチング型の紹介が基本
このため、MSL職に強い転職エージェントへの登録・活用が、最も現実的かつ成功率の高いルートになります。とくに外資系やがん領域の求人を希望する場合は、JACリクルートメントやSamurai Jobなど、ハイクラス・外資系専門エージェントを中心に複数併用するのが鉄則です。
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実際にMSLになった薬剤師の事例
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)は“未経験からの挑戦が難しい”と言われるポジションですが、実際には薬剤師出身でMSLに転職したケースが少しずつ増えています。ここでは、代表的な2つのキャリアルートを紹介します。
30代病院薬剤師→外資系MSLへ|がん領域経験を武器に
ある30代前半の病院薬剤師は、がん専門薬剤師として医師とディスカッションする機会が多く、学会発表やチームカンファレンスにも積極的に参加していました。
転職のきっかけは、「現場で得た知識をもっと広く活かしたい」という想い。英語は得意ではなかったものの、TOEIC600点台からスタートし、半年間のオンライン学習+面接対策で外資系製薬会社のオンコロジーMSLポジションに内定。
現場経験×領域特化×対話力の3点をうまくアピールできたことが、成功のカギでした。
製薬企業の学術職からの転職パターンも
一方、製薬会社で学術・DI業務に従事していた薬剤師が、MSLにキャリアチェンジするパターンも増えています。
例えば、30代後半の方が製品説明会の講師を担当していた経験を活かし、プレゼン能力・論文検索力・社内連携スキルを武器に転職活動をスタート。エージェントを通じて英語面接対策を重ね、最終的にCNS領域のMSL職で採用されました。
このケースでは、実務経験の棚卸しとストーリーテリングがカギに。「MSL職に必要な要素は、すでに自分の中にある」と気づけたことが成功への第一歩でした。
MSL職は高度で専門的なポジションですが、病院薬剤師・製薬企業の業務経験からでも十分に到達可能です。大切なのは、過去の経験を“MSL視点”で再定義し、的確に伝える準備をすること。
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[外資系製薬に転職した体験談|30代病院薬剤師の場合]
実際にMSLになった薬剤師の事例
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)は、「未経験での転職は難しい」と言われがちな職種ですが、薬剤師としての経験をうまく活かせば十分にキャリアチェンジは可能です。ここでは、実際にMSL職に転職した2名の薬剤師のケースをご紹介します。
30代病院薬剤師→外資系MSLへ|がん領域経験を武器に
がん専門薬剤師として働いていた30代前半の女性薬剤師。医師との症例カンファレンスや、抗がん剤の提案・副作用マネジメントの経験を多く持ち、医療現場での高い専門性を備えていました。
転職活動では、「現場で培った知識をより広く活かせる仕事をしたい」という意欲を明確にし、外資系製薬企業のオンコロジー領域MSLに内定。
TOEICスコアは700点台でしたが、実務上の英語プレゼン経験がなくても、学会発表歴やディスカッション力をアピールできたことが高く評価されました。
製薬企業の学術職からの転職パターンも
30代後半の男性薬剤師。内資系製薬会社で医薬情報担当(学術部門)として勤務し、製品説明会の講師・社内教育資料の作成・学術問い合わせ対応などを担当していました。
MSLを目指したきっかけは、「より現場の医師と深く科学的な議論ができるポジションに挑戦したい」という想いから。
転職活動では、エージェントと共に職務経歴を“MSL視点”で再構築し、論文読解力・エビデンスベースの説明力を武器に応募。結果、CNS領域のMSL職として外資系企業に転職を成功させました。
どちらのケースにも共通するのは、「今あるスキルをどうMSLに応用できるか」を明確にできていたことです。経験そのものよりも、「自分の経験をどう価値として提示できるか」が問われるのがMSLという職種。
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次は、MSL職への転職を成功させるための「戦略的なステップ」や「活用すべき転職エージェント」へと導く構成が最適です。必要があれば続きもご用意します!
まとめ|MSLを目指すなら「戦略的な準備」が鍵
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)は、薬剤師としての専門性を活かしながら、**より高い年収と裁量を得られる“知的職種”**のひとつです。しかしその分、未経験からの挑戦には明確な戦略と準備が不可欠です。
「求人に出会う前の準備」が結果を左右する
MSL求人は多くが非公開であり、“出てから探す”のでは遅いケースも少なくありません。だからこそ、まだ求人を見ていなくても
- 自己分析を通じた「アピール材料」の言語化
- 英語面接やプレゼンの準備(TOEICだけではなく、実践型対策)
- 職務経歴書の構成見直し(MSL視点での再設計)
といった“事前の仕込み”が重要になります。
特に医療機関で働く薬剤師の場合、「学術的対話」や「KOL対応」など、実はMSLで活かせる経験をしているのにそれに気づいていないことも多いのが実情です。
「専門職向けエージェント」の活用で最短距離へ
MSLへの転職成功者の多くが口を揃えて挙げるのが、「MSL職を熟知したエージェント」の存在です。
特にSamurai Job、JAC Recruitment、エンワールドなどは外資系製薬・MSL案件に強みを持つとされており、以下のような支援が期待できます:
- 非公開求人の紹介
- MSL向け職務経歴書の添削
- 模擬英語面接・プレゼン指導
- 領域や企業文化とのマッチング診断
これらは**自己応募では得にくい“転職成功率を上げる要素”**であり、MSL職を狙うなら積極的に活用したいところです。
MSLは「未経験OK」の求人が少ない分、“いかに準備できたか”が勝負を分ける職種です。
今すぐに転職を決断しなくても、「いつか」を見据えた準備は早く始めて損はありません。
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MSL(メディカルサイエンスリエゾン)は、薬剤師としての知識や経験を最大限に活かせる、“戦略的キャリアポジション”です。
しかし、そのチャンスは限られており、多くの求人は非公開。
だからこそ、転職市場に出る前の準備と、専門エージェントの伴走サポートが、成功への鍵になります。
今のあなたの強みは、誰かに伝えられますか?
MSLとしての可能性があるなら、それを正しく言語化し、企業に届く形で“魅せる力”が必要です。
「いつか挑戦したい」ではなく、「いつでも挑戦できる自分」に——。
まずは情報収集からでもOK。あなたのキャリアを、次のステージへと進める一歩を踏み出しましょう。
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